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2012年6月20日水曜日

演説の起源 は、サルの「唇の震わせ」なのか?



スピーチ(演説): 

大勢の前で自分の意見や主張を述べること 






スピーチという行動は、人間のみで見られる行動で、その進化は良く分かっていなかった。これまでは、唸り声や叫び声などの音声を発する行動が、人間のスピーチの発達につながったと考えられてきた。一方、人間のスピーチは、祖先の霊長類が持っていたある種の顔の運動に由来すると初めて提唱したのが以下の研究。

Ghazanfar et al. (2012) Cineradiography of Monkey Lip-Smacking Reveals Putative Precursors of Speech Dynamics Current Biology 



 この論文の著者らは、サルが示す「咀嚼 Chewing」と「唇のふるわせ Lip-smack」に注目し、X線動画でそれぞれの動きを定量化した。


Lip-smackとは、唇を小刻みに上下に震わせる行動。多くの霊長類で、他個体に対する親愛を示す行動と言われている。Lip-smackの動画 (0:08~)




X線動画の解析の結果、サルのLip-smackのときに舌・唇・舌骨が示すリズムは、人間のスピーチの時に特徴的な5Hzのリズムに似ていた。一方、咀嚼運動は、5Hzのリズムを示さなかった。


 そして、さらに重要な点として、Lip-smackのときと、咀嚼運動のときには、口全体の運動パターンが異なっていた。これは人間においてスピーチと咀嚼運動の運動パターンが異なることを示した先行研究と一致する。


 一般的には、文化的な産物だと考えられてきた人間のスピーチという行動は、祖先の霊長類における顔を使った情報伝達に由来するのかもしれない。





2012年5月19日土曜日

金環日食は、地球でしかみられない?

地球から宇宙を見上げたときに、太陽と月の大きさはほぼ同じ大きさだ(視直径、約0.5度)。そのおかげで、地球上では、太陽が外縁だけを残して月に隠れる現象、すなわち金環日食を観察することができる。太陽と月の見た目の大きさがほぼ同じに見えるのは奇跡に近い偶然なので、金環日食は太陽系では地球でしかみられないのではないか?
 ということで、地球以外の惑星から見たときの太陽と衛星の大きさを計算して、わかりやすく図にしてみた。太陽と衛星の見た目の大きさがほぼ同じに見えるなら、その惑星でも金環日食が観察できる可能性がある。(衛星を持っていない水星・金星と、太陽から遠すぎる天王星・海王星・冥王星は除外した)


まずは地球から見た場合



毎日見ているように、太陽と月の大きさはだいたい同じ。





火星から見た場合


火星には、フォボスとダイモスといういびつな形をした2つの衛星がある(今回は簡略化して球として示した)。これらの衛星は、直径が小さいため、太陽を完全に隠すことはできないようだ。つまり、日食は起こっても、常に部分日食ということになる

なんと、NASAの火星探査機が、火星の衛星フォボスが太陽の前を横切る「火星での日食」を撮影した動画があった。



やはり火星で見られるのは、部分日食である。






木星から見た場合


木星には、66個の衛星があるらしいが、そのうちガリレオ衛星と呼ばれる4つの大きな衛星だけを調べてみた。さすがに木星くらい太陽から離れると、太陽の見た目の大きさがすごく小さくなる。そのせいで、衛星の大きさが相対的に大きくなり、どの衛星も太陽をすっぽり隠してしまうようだ。つまり、金環日食は見られず、「皆既日食」が頻繁におこっているだろう

この写真は、イオ・ガニメデ・カリストによる木星上の日食を、宇宙からとらえた写真だ。(wikipedhiaより

木星上の黒い地点で、皆既日食が観察されていたはず。



土星から見た場合


土星には64個の衛星があるが、最大の衛星をもつ外衛星群の4つに注目した。土星上で太陽を見ると、地球上と比べて直径は約1/10、面積は約1/100になってしまう。やはり土星でも、3つの衛星が太陽よりも見ため上の大きさが大きく、金環日食ではなく完全な皆既日食になってしまう





【結果】

金環日食は、地球上でしか見られない極めて珍しい天体ショーだった。地球に生まれたことを感謝。



5月21日は日本各地で晴れるといいですねー。





(黒後家蜘蛛の3巻に収録されている「欠けているもの」は、このエントリーを読んだ後に読むと面白いと思います)












2012年5月16日水曜日

金環日蝕でチンパンジーはどうなったか。1984年の米国の記録



5月21日は金環日食。




日中突然暗くなったとき、動物はどう反応するのか・・・。
ちょっと調べてみたら、
1984年5月30日の金環日食のときの、飼育下のチンパンジーの行動を記録した論文があった。これが面白い。


ここから引用(訳は適当) 
空が暗くなり気温が下がってくると、単独メスと子持ちメスが人工の構造物の上の方に登りはじめた。日蝕が進むと、さらに多くの個体が構造物の上に集まり、体を太陽の方向へ向けていた。蝕が最大になったときも、チンパンジーたちは体を太陽の方へ向け続け、太陽を仰ぎ見ていた。一頭の若いチンパンジーは、直立し太陽の方向を指し示していた。蝕が減り始め明るくなってくると、チンパンジーたちは構造物から降りはじめた。




まるで人間 ”を” 観察したかのような報告で、とても興味深い。チンパンジーたちも金環日蝕が普通の現象ではないと認識していたのだろうか。



いくつかの動物園では、金環日食時の動物観察ツアーを予定しているようだ。


5月21日の朝は、太陽を見上げるだけでなく、地上も注意深くみておくと、日蝕によって引き起こされる動物たちの面白い行動が観察できるかもね。







参考